「人生100年時代」の人と街の成長をサポートする 慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科教授 神武直彦さん -後篇-|<公式>人生100年を考えようLAB|野村不動産・関電不動産開発

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地球規模のグローバルな取り組みから、地域の人々の交流を促す取り組みまで、さまざまなプロジェクトを実践されている神武直彦さん。日吉エリアでのこれまでの活動や「吉日楽校(きちじつがっこう)」の可能性などについて伺いました。

子どもたちの疑問に地域の大人が答え、多世代のふれあいからシビックプライドが育まれていく

子どもたちの疑問に地域の大人が答え、多世代のふれあいからシビックプライドが育まれていく

地域の方々が持つ知識やスキルを街の「財産」として活かす仕組みをつくることも、システムデザインを活用したコミュニティづくりへの面白いチャレンジになると思います。

例えば、以前、日吉エリアにある「えんがわの家 よってこ しもだ」という一軒家のフリースペースで行った取り組みでは、地域のみなさんと連携し、そのような街の「財産」を活かしながら、世代を超えた交流の場をつくりました。

そのときのプログラムのひとつが、地域の中で感じた疑問や不思議を子どもたちが探し出してきて地図上に写真やふせんを貼り、それに対して昔からそこに住んでいる方が答えるというものです。
「ここは横浜なのに、なんで鎌倉街道っていうの?」とか「この池には、春になるとなんでこんな生き物がいるんだろう?」とか。実際に一緒に見に行ったり、やってみたりするうちにその疑問が解決し、その上、多世代がつながり、街に知り合いが増えていく。この街にいることがより楽しくなって、シビックプライドの醸成にもつながるという取り組みです。今では、世田谷などの別の街でも実施しています。

「吉日楽校」でも、僕らはプログラムの提供者で終わらずに、地域の方々から僕らにアイデアや知識を提供いただいたりと、立場がいろいろと変わるような場所になるといいと思っています。

みんなでイメージを思い描く、
参加型の街づくりを

みんなでイメージを思い描く、参加型の街づくりを

人生100年を考えたときには、同じ地域の中に100年目を迎えている方と、80年目や50年目を迎えている方などがいて、それぞれに持っている特徴も違いますよね。年齢を重ねている方は行動に制限があっても、知識や経験が豊富ということもあるでしょう。
コミュニティにおいては、そこをいかに組み合わせるかというファシリテーションが大事で、ファシリテーターがいる場はとても活気があります。「吉日楽校」のような、さまざまな試みや交流ができる場所から、そういう人材が育っていくといいですね。

レオナルド・ダ・ヴィンチが「始めるときに終わりを考えよ」と言っていますが、システムデザインも最初にゴールのイメージを持つことが重要です。
街づくりを始めるときには、どんな街にしたいのかというイメージを、街に関わる人々みんなで思い描くことが大切だと思います。

今回の「プラウドシティ日吉」のように、街に関係する人たちが会議室で議論しているだけでなく、街ができる前からこのような場所を通じて継続的に話し合い、実際に行動に移していくことは、まさに参加型デザインで、これからの街づくりのモデルのひとつになるのではないでしょうか。

100LAB note
  • ・多世代がつながることで、その街に暮らす楽しさが増していく。
  • ・どんな街にしたいかというイメージを、関わる人々みんなで共有しながら、街づくりを進めていくことが大事。
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神武直彦(こうたけ・なおひこ)

神武 直彦(こうたけ・なおひこ)
慶應義塾大学大学院
システムデザイン・マネジメント研究科教授

1973年生まれ。慶應義塾大学大学院理工学研究科修了後、宇宙開発事業団(NASDA)に入社。 H-ⅡAロケットの研究開発と打ち上げに従事。欧州宇宙機関(ESA)を経て、宇宙航空開発研究機構(JAXA)主任開発員。宇宙機搭載ソフトウェアの独立検証・有効性確認の統括やアメリカ航空宇宙局(NASA)、ESAとの国際連携に従事。2009年度より慶應義塾大学にて社会技術システムのデザインやマネジメントの教育研究に従事。日本スポーツ振興センターハイパフォーマンス戦略部アドバイザーなどを歴任。「社会課題解決型宇宙人材育成プログラム」のデザインで、グッドデザイン賞2017を受賞。2018年6月より横浜市および富士通株式会社と共に「スポーツデータみらいデザインラボプロジェクト」を始動。アジア工科大学院院招聘教授。博士(政策・メディア)。