ロボットデザイナーから見た「人生100年時代」 -後篇-|<公式>人生100年を考えようLAB|野村不動産・関電不動産開発

人生100年を考えようLAB

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ヒューマノイドロボット「Posy」の生みの親でもある松井龍哉さん。ロボットづくりを通して変化する世の中を見つめ続ける松井さんが、次に予想する未来とは?

人生100年時代は、
「200年社会」への準備期間

人生100年時代は、「200年社会」への準備期間

僕が子どもの頃はロボットアニメの全盛期で、まわりには将来ロボットを操縦して地球を守りたいという子が多かったのですが、僕はそれをつくるほうの博士とかに憧れていました。

ロボットを研究していて圧倒的に環境が変わったのは、スマートフォンが現れネットワークへのアクセスの質が大幅に変化したときです。理論的には、僕が師事した建築家の丹下健三先生が「東京計画1960」という論文の中で予測していたことですが、情報化社会を体現する技術が加速度的に進んで、人と人のコミュニケーションのとり方が大きく変化しました。
ロボットもそれまでのように単体で動くものではなくなり、さまざまな情報とリンクしながら人間社会に適応するようになってきた。

僕らは人生100年時代の後の「200年社会」というのをもう考えています。
丹下先生は、社会工学的な見地から今のネットワーク社会を見抜いていましたが、これからは生命科学の時代に突入していって、人間の定義を測る側面には遺伝子レベルでの説明も可能になります。
バイオテクノロジー等の発達により未病率を飛躍的に減少させ200歳まで人が生きるようになったとき、本当の意味でブレイクスルーが起きるのではないでしょうか。

そう考えると、今は次の200年時代への準備段階で、これまでの社会的価値観からいったん離れ、「人間にとっていちばん大切なことは何か?」と、私たちが生きていく上で最も大切な情熱や理性を発見する大事な期間ではないかと思います。

松井龍哉松井龍哉

ロボットのサッカーチームが
世界チャンピオンに勝つ日

ロボットのサッカーチームが世界チャンピオンに勝つ日

「Posy」は文化的な想いから創造したロボットですが、もうひとつ、弊社がスポンサーとして取り組んでいるプロジェクトにRoboCup (ロボカップ)があります。

これは、2050年までに人間のサッカー世界チャンピオンチームに勝てる自律型ロボットのチームをつくることを目標に、世界中の研究者が集まって毎年大会を行なっているもので、20年かけてようやくロボットが人間と試合ができるようになってきた。だいたい人間のほうが勝つんですが、去年はロボットに3点も入れられました(笑)。

これを実現させるためには様々な技術開発の発想の転換が必要です。例えば人間に体がぶつかるとロボットのほうが壊れ人に怪我をさせないとか、発想自体ソフトな設計、思想が必要です。ただ勝てば良いわけではありません。そのような発想から生まれた技術革新はやがて車のボディ等にも応用できたりと、サッカーで勝つ夢が新産業を牽引する技術にもつながっています。

人生100年時代には、テクノロジーが介入することで達成できることもあると思いますが、そのようにもっと面白いとか、興味をそそるとか、進化の根源になるような、人の知や気持ちを刺激する新しい学びのコンセプトも必要になっていくのではないでしょうか。

松井龍哉松井龍哉
100LAB note
  • ・来たる「200年社会」への想像力も働かせて、私たちがこれから生きていく上で大切な情熱や理性を探求する。
  • ・面白さや興味などから、私たちの進化の根源になるような学びへの動機となる新しいコンセプトづくりを。
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松井龍哉(まつい・たつや)

松井龍哉(まつい・たつや)
フラワー・ロボティクス株式会社代表取締役社長
ロボットデザイナー

1969年東京生まれ。91年日本大学芸術学部卒業後、丹下健三・都市・建築設計研究所を経て渡仏。科学技術振興事業団にてヒューマノイドロボット「PINO」などのデザインに携わる。2001年フラワー・ロボティクス社を設立。ヒューマノイドロボット「Posy」「Palette」などを自社開発。現在、自律移動型家庭用ロボット「Patin」を開発中。2017年よりヨーロッパ各地の美術館/博物館にて開催される巡回展”Hello, Robot”展に出展中。 ニューヨーク近代美術館、ベネチアビエンナーレ、ルーヴル美術館パリ装飾美術館等でロボットの展示も実施。iFデザイン賞(ドイツ)red dotデザイン賞(ドイツ)など受賞多数、日本大学藝術学部客員教授、グッドデザイン賞審査委員(2007年から2014年)。